映画『Marley & Me』 (字幕版)を観た。

映画『Marley & Me』 (字幕版)を観た。

犬の話だ。

邦題は『マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと (字幕版)

邦題が気に入らなかったので、私は『Marley & Me』 (字幕版)を観た。内容は同じなのだけど、なんとなく「マーリーと私」の方がいいじゃないですか。そういうところはこだわりたい。

私は猫派なので、犬の話を観てもどうかなーと思いながら観たけれど、やっぱり最後は泣かされます。犬だろうが猫だろうが、物言わぬ動物と人との愛情物語は古今東西人を感動の嵐に巻き込んでいく。

マーリーという犬は、やんちゃを超えてアホな犬だ。目に入るものすべてを噛む。噛みちぎる。噛んで破壊する。

主人公のカップルはそんな犬に悩まされながらも決してマーリーを手放すことなく、二人の人生を少しずつ進めていく。

この映画は、「自分が好きなことは何か?」「自分が好きな人は誰か?」「自分がしたいことは何か?」「誰といることが自分の幸せなのか?」そんなことを私達に問いかける。

日々の作業に忙殺されて、ついつい忘れがちなこれらのことを、この映画は否応なしに思い出させる。

この映画を、私はリビングのソファに座って観ていた。マーリーのおバカが続いている間、コーヒーを飲みながらゆっくり鑑賞できた。

マーリーの様子がおかしくなってきた頃、寝室にいる猫から、私は呼ばれた。そんな気がした。

マーリーだって年をとる。年老いた動物の姿ほど、泣かせるものはない。私は映画を映し出すノートパソコンを持って、寝室に移動した。猫のアベちゃんが私のそばに座った。

映画のストーリーが進み、マーリーがおかしな行動(ものを破壊したりするおかしな行動ではなく、突然姿を消すなどの行動)に出始めた頃、私はもう我慢がならず、声をあげて泣いた。アベちゃんが私の足元でこちらを見る。弱い声で鳴く。私も泣く。そこからは涙が止まらなくなった。

アベちゃんはベンガルのメスで、生後まだ一年ちょっと。この猫を見ながら、私は二年前に死んでしまったあびくんを思った。あびくんは22歳まで生きた雑種猫。あびくんの死後一年以上たってから、アベちゃんを飼い始めた。私はいつも、次の猫を飼うまでに、必ず一年の時が経つのを待つ。それが前の猫に対する礼儀だと思っている。

あびくんを思った。階段をのぼれなくなったマーリーの姿に、それほど高さがあるわけではないベッドにもうのぼれなくなってしまったあびくんを思う。ベッドから降りる時、猫なのに「ドタっ」と音をさせて落ちてしまうあびくんを思った。床とベッドの間に踏み台を置いてあげた。ゆっくり踏み台を使ってベッドにのぼり、いつもの場所、私の枕の横に体を横たえるあびくんを思う。

ここまで書く間も、私は衝動を抑えきれず、まだまだ若くて元気なアベちゃんがベッドでゴロゴロする姿を横目に、涙を流し続ける。そんな私をアベちゃんは不思議そうな目で見つめる。

動物というものは、どうしてこう人間の心をかき乱すのだろうか?

マーリーと私。あびくんと私。アベちゃんと私。最初に飼った猫、アメリカンショートヘアのアッシュと私。

毛むくじゃらの動物は、私にとってかけがえのない存在だ。

この映画を観て私は、アベちゃんの元気な姿を見ながら、今いる自分の幸せを思った。