信頼される人になる──。
それは難しいようにも、案外簡単なようにも思える。
理由は、ある人のセリフが胸に刺さったからだ。
ある集まりに参加した。
そこは映画やドラマの撮影にも使われるという、知る人ぞ知る原宿のオシャレなバー。20代から30代の男性が15名ほどひしめく中で、女性は私ひとり。みな、あることでつながっている人たちだ。
「自己紹介にいきましょう」
その場で私が知る人は一人しかいなかったので、自己紹介はありがたかった。端にいる男性から順に、自分について語り出す。
多くの人の話を聞くうち、私はあることに気づいた。
「○○さんのおかげで今の僕がある」
「あの時○○さんに助けてもらえなかったら…」。
同じ名前をよく耳にするのだ。
○○さんというその名前を口にする人はみな、笑顔で熱く語っている。それを聞いている○○さんもまた、笑顔でそれを聞いている。
その姿を見て私は、「○○さんはずいぶん人に信用されているんだな」と感じた。
その集まりがお開きになり、JR原宿駅に向かう道すがら、偶然その○○さんといっしょに帰ることになった。私と彼を含め4人で駅への道を行く。
私の隣を歩く人からとても興味深い話を聞いたが、それはまた後日お伝えするとして……。その彼もまた、「○○さんはすごい」という話をしていた。
途中、4人のうちひとりが地下鉄の駅へ降りた。
3人で並んで歩く格好になる。
私は○○さんに思い切って言ってみた。
「みなさんの話を聞いていて、○○さんはとても信頼されているんだなと感じました。」
私の言葉に対し、彼が発したセリフはこうだ。
「僕は約束を守っただけです。」
人に信頼される人になる。
その方法を、あなたは簡単だと思うだろうか?
それとも、難しいと感じるだろうか。